転勤が決まった。施設に入ることになった。実家を出て、誰も住まなくなる。
こうした事情でご自宅を空き家にされる方は少なくありません。そのとき「とりあえずそのままにしておこう」と決めてしまうと、後で選択肢が狭まります。
この記事では、空き家にする前に知っておいていただきたいことを3つに絞ってお伝えします。
① 3年の期限が動き出します
いちばん大きいのがこれです。
自宅を売ったときには、譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例があります。ところがこの特例、住まなくなってから期限があります。
住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
具体的にいつまでか
| 住まなくなった日 | 期限 |
|---|---|
| 2024年1月 | 2027年12月31日 |
| 2024年12月 | 2027年12月31日 |
| 2025年6月 | 2028年12月31日 |
| 2026年9月 | 2029年12月31日 |
3年と聞くと長く感じますが、売買には時間がかかります。売り出してから買主が決まるまで岡山では平均2〜4か月、契約から引き渡しまでさらに1〜2か月。逆算すると、期限の半年前には動き出しておきたいところです。
この特例がないと、いくら違うのか
売却益が1,000万円出た場合で比べます。
- 特例あり … 譲渡所得税 0円
- 特例なし(所有10年超)… 約142万円
- 特例なし(所有5年以下)… 約396万円
数百万円の差になります。「まだ決めていないから」と放置している間に、この権利が消えていきます。
② 一度でも貸すと、特例は使えなくなります
これが二つめの落とし穴です。
「空けておくのはもったいない」「誰かに住んでもらったほうが家が傷まない」
そう考えて賃貸に出す方がいらっしゃいます。気持ちはよくわかります。ところが貸した時点で、3,000万円の特例は使えなくなります。
判断のしかた
将来売る可能性があるなら、貸す前に数字を比べてください。
たとえば月6万円で3年間貸した場合、家賃収入は216万円です。そこから固定資産税・管理費・修繕費を引くと、手元に残るのは150万円ほど。
一方、特例を失うことで増える税金が300万円なら、貸さずに売ったほうが150万円得という計算になります。
もちろん「売らずに持ち続ける」と決めているなら、貸したほうがよいです。判断は、売る可能性があるかどうかで変わります。
親族に住んでもらう場合も同じです
「息子が一時的に住む」「親戚に使ってもらう」といった場合も、居住の用に供したことになり、特例は使えなくなります。無償で貸した場合も同様です。
③ 火災保険と固定資産税が変わります
火災保険は「住宅物件」でなくなります
誰も住んでいない家は、保険の区分が変わります。
- 一般物件として扱われ、保険料が上がる
- 引き受けを断られることもある
- 地震保険は住宅物件が前提のため、単独では付けにくい
岡山は台風の通り道でもあります。屋根が飛んで近隣に被害が出た場合、保険が使えないと全額自己負担です。
年に数回でも人の出入りがあるかどうかで扱いが変わることもあるため、空き家にする前に保険会社へ確認してください。
固定資産税が上がる条件
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、固定資産税の課税標準が最大6分の1になっています。
この特例が外れるのは、次の場合です。
- 建物を取り壊して更地にした場合
- 管理不全空き家に指定された場合
- 特定空き家に指定された場合
「6倍になる」とよく言われますが、これは土地の課税標準の話です。実際の納税額は都市計画税も含めて4倍前後になることが多いです。いずれにせよ負担は大きく増えます。
管理不全空き家は2023年の法改正で新設された区分で、「このまま放置すると特定空き家になるおそれがある状態」で指定されます。草木が伸び放題、窓が割れたまま、といった状態が続くと対象になります。
空き家にする前に決めておきたい3つのこと
1. 売る可能性があるかどうか
「たぶん売らない」ではなく、「5年以内に売る可能性が1割でもあるか」で考えてください。可能性があるなら、貸す判断は慎重に。
2. 誰が管理するか
月1回でも人が入るかどうかで、建物の傷み方がまったく違います。通風、通水、郵便物の確認、草木の手入れ。近くに住むご家族がいなければ、管理を委託する選択肢もあります。
3. 期限をカレンダーに入れる
住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日。その半年前に印をつけておいてください。
「そのうち考えよう」と思っているうちに期限が来てしまった、というご相談を実際にいただいています。
まとめ
- 住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日が、3,000万円控除の期限
- 売買には数か月かかる。期限の半年前には動き出す
- 一度でも貸すと特例は使えなくなる。親族が住む場合も同じ
- 火災保険は一般物件扱いになり、保険料が上がるか加入を断られる
- 管理不全空き家に指定されると、固定資産税が数倍になる
- 空き家にする前に「売る可能性」「管理する人」「期限」を決めておく
ご自宅を売ったときの手取りを計算できます
3,000万円控除が使えるかを判定し、税金を引いた手取り額を出します。貸す前に、売った場合の数字を確認しておくと判断しやすくなります。
マイホーム売却の税金ツールを使う
相続した空き家の場合は、別の制度になります
亡くなった方が住んでいた家を相続した場合は「被相続人の居住用財産の3,000万円控除」という別の特例です。条件も期限も違います。
相続した空き家の判断ツールを見る
岡山市・倉敷市で空き家になるご自宅について、売却・賃貸・管理のいずれもご相談いただけます。「まだ決めていない」段階で構いません。期限だけでも一緒に確認しましょう。
よくある質問
Q. 自宅を空き家にすると、何が変わりますか?
A. 大きく3つあります。ひとつは3,000万円特別控除の期限が動き出すこと。住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売らなければ使えません。ふたつめは火災保険の扱いが変わり、保険料が上がるか加入を断られること。みっつめは建物の傷みが早くなることです。
Q. 空き家にした家を人に貸すとどうなりますか?
A. 3,000万円特別控除が使えなくなります。「空けておくのはもったいないから」と貸してしまい、後から気づく方が少なくありません。将来売る可能性があるなら、貸す前に必ず税額を比べてください。数年分の家賃収入より、控除の額のほうが大きいことがあります。
Q. 固定資産税が6倍になると聞きましたが本当ですか?
A. 建物を取り壊した場合や、管理不全空き家に指定された場合、住宅用地の特例が外れて税額が数倍になります。よく「6倍」と言われますが、これは土地の課税標準の話で、実際の納税額は都市計画税も含めて4倍前後になることが多いです。いずれにせよ負担は大きく増えます。
岡山で家を売ることをお考えの方へ
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