大阪や東京、広島に住みながら、岡山の実家を持ち続けている。そういう方は少なくありません。「お盆と正月に帰ったときに見ている」という管理の仕方が一般的です。
ただ、この頻度では家の傷みを止められないのが実情です。この記事では、県外にお住まいの方が現実的にどう管理すればいいかを整理します。
年2回の帰省では何が起きるか
半年ぶりに実家の扉を開けたときに起きていることを、具体的に見てみます。
下水の臭いと虫
排水口の封水は1〜2か月で蒸発します。半年空ければ、キッチン・洗面・浴室・トイレのすべてで封水が切れています。下水の臭いが家中に広がり、排水管を伝ってゴキブリやチョウバエが上がってきます。
黴
岡山の梅雨から夏は湿度が高く、締め切った家では押入れや北側の部屋に黴が出ます。一度広がると、畳や壁紙の張り替えが必要になります。
草
春から秋にかけて、草は1か月で膝の高さまで伸びます。半年放置すれば人の背丈近くになり、隣地にはみ出します。近隣からの苦情で最も多いのがこれです。
気づけなかった雨漏り
台風の後に瓦がずれ、そこから雨が入り続けていた——というケースがあります。早期に見つければ数万円で直せたものが、半年経つと下地から傷み、数十万円の工事になります。
ポストと外観
郵便物とチラシがあふれた家は、外から見て空き家だと分かります。空き巣に狙われやすくなり、市町村が「管理不全空家」を判断する材料にもなります。
遠方からでもできること
現地に行かなくてもできる対策があります。まずここから手をつけてください。
①郵便物を転送する
郵便局に転居届を出し、実際にお住まいの住所へ転送します。1年ごとの更新が必要です。ポストがあふれる状態は、それだけで防げます。
②火災保険を空き家に対応した契約にする
一般の住宅向け火災保険は「人が住んでいること」を前提としている場合があります。保険会社に空き家である旨を伝え、継続できるか、切り替えが必要かを確認してください。無保険の期間が生まれるのが最も危険です。
③ライフラインを最低限残す
水道は残してください。訪問時の通水・清掃に必要です。電気も、換気扇や照明のために残す方が多くいます。基本料金は合わせて月に数千円程度です。
④固定資産税の通知先を自分の住所にする
市役所(岡山市なら資産税課)に届け出ます。実家に届いたままだと、滞納に気づけません。
⑤近隣に連絡先を伝えておく
隣家の方に「何かあったら連絡してください」と携帯番号を渡しておくだけで、初動が大きく変わります。台風で瓦が飛んだ、不審者が出入りしている、といった情報はご近所からしか入りません。
ただしこれは「見張ってもらう」お願いではありません。定期的な作業を頼むのは負担が大きく、関係を悪くします。異変があったときの連絡先、という位置づけにとどめてください。
誰かに任せる場合の選択肢
月1回の訪問を、誰が行うかです。
①岡山在住の親族に頼む
最も費用がかからない方法です。ただし継続的な負担になるため、次を明確にしておくことをおすすめします。
- 何をどの頻度でやってもらうか
- ガソリン代などの実費をどう精算するか
- 草刈りなど大きな作業は別途業者に頼むのか
「身内だから」と曖昧にしたまま数年続くと、相続の話し合いのときに不公平感として表面化することがあります。
②シルバー人材センターを使う
草刈りや簡単な清掃を依頼できます。費用を抑えられますが、室内の点検や報告書の作成までは対応範囲外のことが多くなります。
③空き家管理サービスを使う
月1回の巡回で、換気・通水・外観点検を行い、写真付きで報告するサービスです。月額5,000〜10,000円程度が一つの目安です。
選ぶときは次を確認してください。
- 報告書に写真が付くか(これがないと状態が把握できません)
- 室内に入って通水まで行うか(外観だけのプランもあります)
- 草刈りや不用品処分など、追加作業に対応できるか
- 異常があったときに業者の手配まで頼めるか
- 将来的に売却・賃貸を相談できるか
最後の点は見落とされやすいのですが重要です。不動産会社が管理を行っている場合、そのまま売却や活用の相談ができます。管理専門の会社だと、売るときは別の会社を探すことになります。
いつまで持ち続けるかを決める
管理は、あくまで結論を出すまでの時間を買う手段です。管理し続けること自体が目的にならないよう、期限を決めてください。
年間の維持費を把握する
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険料
- 水道・電気の基本料金
- 管理費用
- 草刈りなどの臨時費用
これらを合計すると、年間で十数万円から数十万円になることもあります。「使わない家に毎年いくら払っているか」を数字で見ると、判断が進みます。
3つの選択肢を比べる
- 売る:維持費がなくなり現金になる。建物の価値は年々下がるため、早いほど有利なことが多い
- 貸す:収入が入るが、貸せる状態にするリフォーム費用がかかる。岡山では戸建て賃貸の需要があるエリアもあります
- 持ち続ける:将来使う予定がある、相続人の合意が取れていない場合の選択
迷ったら、まず査定を取ってください。「売るといくらか」が分かると、持ち続けるコストとの比較ができるようになります。査定を取ったからといって売る必要はありません。
まとめ
- 年2回の帰省では封水の蒸発・黴・草の伸び・雨漏りの見落としを防げない
- 遠方からでもできること:郵便転送、火災保険の確認、水道と電気の維持、税通知先の変更、近隣への連絡先共有
- 近隣には「異変時の連絡先」を渡すにとどめ、定期作業は頼まない
- 月1回の訪問は、親族・シルバー人材センター・空き家管理サービスのいずれかで確保する
- 管理サービスは写真付き報告があるかと将来の売却まで相談できるかで選ぶ
- 管理は結論を出すまでの手段。年間維持費を把握し、期限を決める
コアラ不動産では、県外にお住まいの方の実家管理を承っています。将来的な売却や賃貸のご相談も同じ窓口で対応できますので、まずは現状をお聞かせください。
空き家の管理を任せたい方へ
月1回の巡回で換気・通水・外観点検を行い、写真付きで報告します。岡山市内対応、それ以外は要相談。
コアラ不動産の空き家管理サービス
見回りで何を見ているか
毎月の点検項目と報告書の中身を公開しています。ご自身で管理する方はチェックリストとしてお使いください。
岡山の空き家の見回りで実際に見ているもの
よくある質問
Q. 年に数回の帰省では管理として足りませんか?
A. 足りないことが多いです。排水口の封水は1〜2か月で蒸発するため、半年ぶりに帰ると下水の臭いと虫が発生しています。湿気による黴も進みます。頻度が確保できない場合は、誰かに任せる仕組みが必要です。
Q. 近所の人に見てもらうのは頼りすぎでしょうか?
A. 異変があったときに連絡をもらう関係は非常に有効です。ただし鍵を預けて定期的に作業してもらうとなると負担が大きく、何かあったときに気まずくなります。お礼の仕方も含めて、頼む範囲を明確にしてください。
Q. 空き家管理サービスの費用はどのくらいですか?
A. 月1回の巡回で月額5,000〜10,000円程度が一つの目安です。作業範囲や訪問頻度、草刈りなどのオプションで変わります。固定資産税や火災保険と合わせて、年間の維持費として見ておいてください。
Q. 管理を続けるより早く売ったほうがいいですか?
A. 使う予定がなく、相続人の間で意見がまとまっているなら、早めの売却が有利なことが多くあります。建物は放置するほど価値が下がり、維持費だけが出ていくためです。ただし焦って決める必要はなく、まず査定を取って判断材料を揃えてください。




