売買契約書は、署名した後は原則として覆せません。にもかかわらず、当日その場で初めて読むという方が少なくありません。
この記事では、岡山で収益物件を買うときに、契約書のどこを確認すべきかを整理します。後で揉めるのは、いつも同じ箇所です。
大前提:契約書は事前にもらう
まずこれを徹底してください。契約日の3日前までに、売買契約書と重要事項説明書の案を受け取り、目を通しておきます。
当日その場で読んで理解し、疑問点を整理して質問するのは現実的ではありません。事前に読んで、分からない箇所に付箋を貼っておく。これだけで、契約の質は大きく変わります。
「当日お渡しします」と言われた場合は、事前送付をお願いしてください。断られる理由は通常ありません。
①融資特約
融資を使う場合、最も重要な条項です。
何のための条項か
金融機関の審査に通らなかった場合に、契約を白紙に戻し、手付金を返還してもらうための特約です。これがないと、融資が下りなくても契約は有効なままとなり、手付金を失うか、違約金を求められる可能性があります。
確認すべき点
- 期限:いつまでに融資承認を得る必要があるか(契約から30〜45日程度が一般的)
- 対象の金融機関:特定の銀行に限定されていないか
- 借入予定額:実際に必要な額が書かれているか
- 解除の方法:期限までに書面で通知が必要か
期限が短すぎると、審査が間に合わずに特約が使えなくなります。金融機関の審査にどのくらいかかるかを確認したうえで、余裕のある日程にしてください。
②契約不適合責任
引き渡された物件に、契約で定めた内容と違う点があった場合の責任です。
期間の定め
売主が不動産会社(宅建業者)の場合、法律により引き渡しから2年以上とすることが定められています。
一方、売主が個人の場合は当事者間で自由に決められます。実務では引き渡しから3か月とすることが多く、免責(責任を負わない)とされることもあります。
免責の場合に何をすべきか
免責であれば、引き渡し後に雨漏りやシロアリが見つかっても自己負担です。したがって契約前の調査がすべてになります。
- 建物状況調査(インスペクション)の実施を検討する
- 屋根・外壁・床下の状態を可能な範囲で確認する
- 過去の修繕履歴と、直近の不具合の有無を書面で確認する
「知りながら告げなかった事実」は免責されない
免責特約があっても、売主が知っていて隠していた欠陥については責任を免れません。雨漏りを認識していながら告げなかったようなケースです。ただし「知っていた」ことの立証は簡単ではないため、事前確認が重要であることに変わりはありません。
③現況有姿での引き渡し
「現況有姿」とは、今ある状態のまま引き渡すという意味です。売主は修繕せずに渡します。
中古の収益物件では一般的な条件ですが、次を確認してください。
- 設備の不具合をどう扱うか:故障している給湯器やエアコンは、そのまま引き継ぐのか
- 残置物の扱い:空室に家具や荷物が残っている場合、誰が処分するか
- 引き渡しまでに新たな不具合が出たら:どちらが負担するか
残置物の処分は、意外に費用がかかります。「売主の負担で撤去」と明記しておくのが安全です。
④賃貸借契約の承継と敷金
収益物件ならではの重要項目です。
賃貸借契約はそのまま引き継がれる
入居者との契約は、オーナーが変わっても継続します。買主は貸主としての地位をそのまま引き継ぎます。契約内容を変えることはできません。
したがってすべての賃貸借契約書の写しを、契約前に確認してください。次のような条件が入っていることがあります。
- 相場より大幅に安い家賃
- 更新料なしの取り決め
- ペット可などの特約
- 長期の定期借家契約
敷金の承継
入居者から預かっている敷金は、買主が返還義務を引き継ぎます。退去時に返すのは新しいオーナーです。
したがって決済時に、売主から買主へ敷金相当額が引き継がれる必要があります。契約書に敷金の総額と精算方法が明記されているかを必ず確認してください。ここが抜けていると、退去時に自己負担で返すことになります。
滞納家賃の扱い
引き渡し前に発生していた滞納分を、誰が回収するのか。買主が引き継ぐのか、売主が処理するのかを明確にしておきます。
⑤手付金と解除の条件
手付解除
「相手方が契約の履行に着手するまで」は、買主は手付金を放棄して、売主は手付金の倍額を支払って、契約を解除できます。
実務では具体的な期日が定められることが多くあります。この日を過ぎると手付解除ができなくなるため、日付を確認しておいてください。
違約金
手付解除の期限後に契約を破ると、違約金が発生します。売買代金の10〜20%とされることが一般的です。3,000万円の物件なら300〜600万円です。金額と条件を必ず確認してください。
危険負担
契約から引き渡しまでの間に、火災や災害で建物が損傷した場合の扱いです。通常は売主が負担し、引き渡しができない場合は契約を解除できると定められます。
⑥公租公課の精算
固定資産税・都市計画税を、引き渡し日を基準に日割りで精算します。起算日が1月1日か4月1日かで金額が変わるため、確認しておいてください。
家賃も同様に日割りで精算します。引き渡し日以降の家賃は買主のものです。
まとめ
- 契約書は3日前までに受け取り、事前に読む
- 融資特約:期限が審査期間に対して十分か、対象金融機関が限定されていないか
- 契約不適合責任:個人売主では3か月または免責が多い。免責なら事前調査がすべて
- 現況有姿:残置物の処分負担を明記しておく
- 敷金は買主が返還義務を引き継ぐ。総額と精算方法の記載を必ず確認
- 賃貸借契約は変更できずそのまま引き継ぐ。全室の契約書を事前に確認
- 手付解除の期限と違約金(代金の10〜20%)の条件を把握しておく
コアラ不動産では、契約書と重要事項説明書を事前にお渡しし、疑問点を整理してから当日を迎えていただくようにしています。分からない箇所は、遠慮なくご質問ください。
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よくある質問
Q. 契約書は事前にもらえますか?
A. もらえます。というより、必ず事前に受け取って読んでください。契約当日に初めて見て、その場で理解して署名するのは無理があります。3日前までにはもらい、疑問点を整理して当日に臨むのが理想です。
Q. 契約不適合責任とは何ですか?
A. 引き渡された物件が契約の内容に適合しない場合に、売主が負う責任です。雨漏りやシロアリ被害など、契約時に説明されていなかった不具合が該当します。ただし個人間売買では期間を短く設定したり、免責としたりすることが多くあります。
Q. 「現況有姿」と書かれていたらどうなりますか?
A. 今ある状態のまま引き渡すという意味で、売主は修繕せずに渡します。中古の収益物件では一般的な条件ですが、契約不適合責任の免責とセットになっていることが多いため、事前の建物調査がより重要になります。
Q. 手付解除はいつまでできますか?
A. 契約書に「相手方が履行に着手するまで」あるいは具体的な期日が定められます。買主から解除する場合は手付金を放棄し、売主からの場合は手付金の倍額を支払います。期限を過ぎると違約金(売買代金の10〜20%)の問題になります。




