ご自宅の査定を複数の会社に頼むと、金額がばらばらで驚かれることがあります。
A社は3,200万円、B社は2,800万円、C社は3,500万円。同じ家なのに、700万円も差が出る。どれを信じればいいのか、と迷われるのは当然です。
この記事では、なぜ差が出るのかを正直にお話しします。そのうえで、根拠のある査定を見分ける方法をお伝えします。
差が出る理由は3つあります
① 使っている取引事例が違う
査定の基本は、近隣で実際に売れた物件との比較です。ところが、どの事例を選ぶかで結果が変わります。
たとえば同じ町内でも、前面道路の幅が5メートルの土地と、9メートルの土地では単価が違います。面積が近いという理由だけで道路条件の違う事例を選ぶと、査定額は簡単に2割ずれます。
実際にあった例です。ある町の取引データを調べたところ、面積がほぼ同じ210〜220平方メートルの土地で、道路幅5メートルの取引が1平方メートルあたり48,000円、道路幅6メートルの取引が85,000円でした。面積だけを見て事例を選ぶと、こういう取り違えが起きます。
② 取引が少ない地域は、そもそも決まらない
岡山県内には、5年間で7件しか取引がない町があります。しかも単価が1平方メートルあたり15,000円から96,000円まで、6倍以上ばらついていました。
こうなると、どの事例を選ぶかで査定額が1,500万円にも2,000万円にもなってしまいます。過去のデータだけでは決着しないのです。
③ 会社の意図が入る
ここが一番お伝えしたいところです。
不動産会社は、媒介契約を結ばないと仕事になりません。そして多くの売主さまは、一番高い査定額を出した会社を選びます。
この構造があるため、契約を取るために高めの数字を出す会社が出てきます。契約後、数か月売れないと「そろそろ価格を見直しましょう」と言ってくる。最初から売れない価格だとわかっていた、というケースです。
根拠のある査定を見分ける3つの質問
査定書を受け取ったら、この3つを聞いてみてください。答え方で、その会社の姿勢がわかります。
質問1「どの取引事例を使いましたか」
使った事例の所在地・面積・取引時期・前面道路の幅を答えられるかどうか。
「近隣の相場から」「経験上」といった答えしか返ってこないなら、根拠が曖昧です。国土交通省が実際の取引価格を公開しているので、調べれば必ず出てきます。
質問2「いま近所で、いくらの物件が何か月売れ残っていますか」
これが一番大事な質問だと思っています。
過去に売れた事例は「その価格で売れた」という事実ですが、いま売れ残っている物件は「その価格では売れない」という、もっと新しい事実です。
実際にあった例をお話しします。ある物件を1,900万円で売り出して2か月間、問い合わせがゼロでした。過去のデータを調べても答えが出ませんでしたが、同じ町で大手が扱う物件を見たところ、築14年新しく、間取りも現代的で、220万円安い物件が10か月売れ残っていました。
答えはこれでした。大手が10か月動かせない市場で、それより古くて高い物件が2か月で売れるはずがありません。
質問3「この価格で売れなかったら、次にどうしますか」
3か月後の見通しを持っているかどうかを確認します。
「反響がなければ値下げ」としか言わない会社は、値下げ以外の手を持っていません。写真の追加、掲載媒体の見直し、訴求ポイントの変更など、価格を下げる前にできることはあります。
査定額と売り出し価格は別のものです
ここも混同されやすいところです。
- 査定額 … 3か月程度で売れそうな価格の目安
- 売り出し価格 … 実際に広告に出す価格。交渉の余地を見込んで少し高めにする
売り出し価格を査定額より高くするのは一般的ですが、上げすぎると問い合わせ自体が来なくなります。岡山では査定額の5%増しあたりが上限の目安です。
また、不動産ポータルサイトの検索は「〜2,000万円」「〜2,500万円」のように区切られています。2,050万円で出すと、2,000万円以下で探している層の検索結果に入りません。キリのいい数字のすぐ上は避けるのが実務的です。
私たちが査定でお見せしているもの
参考までに、コアラ不動産が査定をお出しするときに必ずお見せしているものを挙げます。
- 国土交通省の実際の取引データ(所在地・面積・道路幅・取引時期つき)
- 地価公示の推移(時点修正の根拠)
- いま近隣で売り出し中の物件と、その情報公開日
- 建物の再調達価格と、築年数による減価の計算
- 解体して更地にした場合の価値
そのうえで、「3か月で売るならこの価格」「時間をかけてよいならこの価格」と幅でお伝えしています。
高く売れますとは申し上げません。近所でいくらの物件が何か月売れ残っているかを、数字でお見せします。
まとめ
- 査定額の差は、使う取引事例の選び方で簡単に2割動く
- 取引が少ない地域では、過去データだけでは査定が決まらない
- 契約を取るために高めの数字を出す会社がある
- 見分ける質問は「どの事例を使ったか」「近所の売れ残りは」「売れなかったら次にどうするか」
- 査定額と売り出し価格は別物。上げすぎると問い合わせが来なくなる
査定の前に、手取り額を把握しておきましょう
売却価格が決まっても、税金と諸費用を引いた手取りがいくらかは別の話です。先に計算しておくと、査定額の評価がしやすくなります。
マイホーム売却の税金ツールを使う
岡山市・倉敷市で査定をお考えの方、他社の査定書をお持ちいただいても構いません。その金額の根拠を一緒に確認します。
よくある質問
Q. 査定額が一番高い会社に頼めばよいのでしょうか?
A. おすすめしません。査定額は「この金額で売れる保証」ではなく、あくまで見立てです。媒介契約を取るために高めの数字を出す会社もあり、その場合は数か月売れずに値下げを求められます。大切なのは金額そのものより、その金額の根拠を数字で説明できるかどうかです。
Q. 査定額と売り出し価格は同じですか?
A. 違います。査定額は「3か月程度で売れそうな価格」の目安で、売り出し価格は交渉の余地を見込んで少し高めに設定するのが一般的です。ただし高くしすぎると問い合わせ自体が来なくなります。岡山では査定額の5%増しあたりが上限の目安です。
Q. 取引の少ない地域では、査定の精度は落ちますか?
A. 落ちます。岡山県内でも、5年間で7件しか取引がない町があります。そういう地域では過去のデータだけでは決まらないため、私たちは「いま近所でいくらの物件が、何か月売れ残っているか」も必ず確認します。売れ残りの価格と期間は、過去の成約データより正直に市場を映します。
岡山で家を売ることをお考えの方へ
査定から引き渡しまでの流れ、仲介手数料と税金の実額、相談の進め方を1ページにまとめています。
▶ 岡山で家を売る|流れ・費用・税金
査定は無料です。売ると決めていない段階のご相談も歓迎します。




