アパートの売却は、住まいの売却とは考え方がまったく違います。買い手が見ているのは「住み心地」ではなく「この物件はいくら稼ぐか」だからです。
この記事では、岡山でアパートを売却しようと考えている方に向けて、売り時の見極め方から価格の決まり方、買い手の探し方までを整理します。
収益物件の価格はどう決まるのか
まず、ここを理解しておくと売却の全体像がつかめます。
基本は「家賃収入 ÷ 利回り」
収益物件の価格は、収益還元法という考え方で計算されるのが一般的です。ごく単純化すると次のようになります。
物件価格 = 年間家賃収入 ÷ 買い手が求める利回り
たとえば年間家賃収入が600万円、買い手が表面利回り10%を求めるなら、価格は6,000万円が目安になります。求める利回りが12%なら5,000万円まで下がります。
つまり、家賃収入が価格を決める
この式から重要なことが分かります。空室が増えれば、そのまま価格が下がるということです。10戸のうち3戸が空いていれば、家賃収入は3割減り、価格も同じだけ下がる計算になります。
売却を考え始めたら、まず空室を埋めることが最優先です。家賃を少し下げてでも埋めたほうが、売却価格では有利になることがあります。
岡山の利回り水準
買い手が求める利回りは、エリアと物件条件で変わります。岡山では、岡山市中心部の築浅であれば7〜9%程度、郊外や築古になると10〜15%程度が一つの目安です。県北の中山間地域ではさらに高い利回りが求められます。
売り時をどう見極めるか
次の4つの観点から考えます。
①稼働率
前述のとおり、満室に近いほど価格は上がります。売却の半年前から空室対策に力を入れるのが理想です。
②大規模修繕の時期
外壁塗装や屋上防水の時期が迫っている物件は、買い手がその費用を見込んで指値(値引き交渉)をしてきます。修繕直後で価格に転嫁できるなら別ですが、「そろそろ修繕」というタイミングは売りにくい時期です。
③所有期間と税率
譲渡所得の税率は所有期間で大きく変わります。
- 短期譲渡(5年以下):所得税・住民税あわせて約39%
- 長期譲渡(5年超):約20%
判定は「売った年の1月1日時点」で5年を超えているかで行います。実際の保有期間が5年を少し超えていても短期扱いになることがあるため、売却前に必ず確認してください。
④減価償却の残り
木造アパートは法定耐用年数22年で償却が終わります。償却が切れると帳簿上の経費が減り、税負担が増えます。この時期を売却の一つの区切りと考える投資家も多くいます。
買い手をどう見つけるか
収益物件の買い手は、住宅とはまったく違う層です。
買い手は誰か
- 個人の不動産投資家:最も多い層。融資が付くかが購入の分かれ目になります
- 資産管理法人:複数物件を持つ投資家の法人。判断が早いことが多いです
- 不動産会社(買取):早く確実に現金化できますが、価格は相場より下がります
- 県外の投資家:岡山は関西・首都圏と比べて利回りが高いため、県外からの関心があります
県外の投資家という選択肢
実際、岡山の収益物件には県外からの問い合わせがあります。関西圏や首都圏の投資家からすると、岡山の利回り水準は魅力的に映るためです。
ただし遠方の買い手は、管理体制が整っているかを重視します。信頼できる管理会社が入っている物件、修繕履歴が整理されている物件は、遠方の買い手にとって判断しやすくなります。
仲介と買取の使い分け
- 仲介:相場に近い価格で売れる可能性が高い。ただし買い手探しと融資審査で3〜6か月かかる
- 買取:不動産会社が直接買う。1か月程度で現金化できるが、価格は相場の7〜8割程度になることが多い
時間に余裕があるなら仲介、相続税の納付期限が迫っているなど期限がある場合は買取、という使い分けが基本です。
売却前に準備しておくもの
収益物件は、住宅より必要書類が多くなります。
収益に関する資料
- レントロール(各室の家賃・敷金・契約日・入居者属性の一覧)
- 直近2〜3年分の収支実績
- 賃貸借契約書の写し
- 管理委託契約書
建物に関する資料
- 建築確認済証・検査済証
- 建物図面・設備図面
- 修繕履歴(いつ何を直したか)
- 設備の保守点検記録(消防設備、給排水など)
特にレントロールと修繕履歴は、買い手が最も重視する資料です。これが整っていない物件は、買い手が不安を感じて価格交渉が入りやすくなります。日頃から整理しておくことが、結果的に売却価格を守ることにつながります。
まとめ
- 収益物件の価格は年間家賃収入 ÷ 買い手の求める利回りで決まる。空室はそのまま価格減につながる
- 売却の半年前から空室対策を。満室に近づけてから売り出すのが有利
- 大規模修繕の直前は売りにくい時期
- 所有期間5年(売却年の1月1日基準)で税率が約39%から約20%に変わる
- 買い手には県外の投資家も含まれる。管理体制と修繕履歴が整っている物件は評価されやすい
- 急ぐなら買取、価格を取るなら仲介
コアラ不動産では、岡山県内の収益物件の売却をお手伝いしています。「今売るといくらか」だけを知りたいというご相談でも構いませんので、お気軽にお声がけください。
遠方の投資家に売る場合の視点
県外の投資家が岡山の物件をどう見ているかをまとめています。売却時の参考にもなります。
関西から岡山の収益物件に投資するメリットと注意点
岡山のアパート経営を続ける場合は
利回り相場・空室対策・管理の考え方をまとめています。
岡山のアパート経営【完全ガイド】利回り・空室対策・管理を解説
よくある質問
Q. 岡山でアパートを売るのに一番いい時期はいつですか?
A. 満室に近い状態で、かつ大規模修繕の直前でない時期が有利です。買い手は現在の家賃収入で利回りを計算するため、空室が多いと価格が下がります。季節でいえば、繁忙期を過ぎて稼働が固まった春以降が動かしやすい時期です。
Q. 入居者がいる状態でも売却できますか?
A. できます。むしろ収益物件は入居者がいる状態(オーナーチェンジ)で売るのが一般的です。買い手は購入後すぐ家賃収入を得られるため、空室だらけの物件より評価されます。入居者への立ち退き交渉は不要です。
Q. 売却でかかる税金はどのくらいですか?
A. 譲渡所得に対して課税されます。所有期間5年以下(短期譲渡)は約39%、5年超(長期譲渡)は約20%と税率が大きく変わります。5年を境に差が出るため、売却時期を検討する際は所有期間を必ず確認してください。
Q. 売却にかかる期間の目安は?
A. 物件の条件によりますが、査定から引き渡しまで3〜6か月程度を見ておくと安全です。買い手の融資審査に1〜2か月かかることが多いため、急いで現金化したい場合は買取という選択肢もあります。




