「家を売ったら買ったときより安かった」
住み替えや転勤でご自宅を手放すとき、こうなることは珍しくありません。落ち込まれる方も多いのですが、実は税金が戻ってくる可能性があります。
あまり知られていない制度ですが、条件を満たせば給与所得と相殺でき、支払った所得税の還付を受けられます。この記事では、その仕組みと使うための条件を説明します。
損が出たときに使える2つの制度
マイホームの売却で損失が出た場合の特例は、大きく2つあります。買い換えるかどうかで使える制度が変わります。
① 買い換える場合
正式には「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」といいます。主な条件はこうです。
- 売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること
- 売った翌年末までに新しい自宅を買い、住むこと
- 新居について返済期間10年以上の住宅ローンを組むこと
- 売却した年の合計所得金額が3,000万円以下であること
② 買い換えない場合
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」といいます。こちらは売る家に住宅ローンが残っていることが前提です。
- 売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること
- 売買契約日の前日に、その家の住宅ローン残高があること
- 売却価格がローン残高を下回っていること
- 売却した年の合計所得金額が3,000万円以下であること
②の場合、控除できる損失額は「ローン残高 − 売却価格」が上限になります。①のように損失の全額ではない点にご注意ください。
いくら戻るのか、具体例で見てみます
わかりやすく、こういうケースで考えます。
- 10年前に3,000万円で購入した自宅(建物1,800万円・土地1,200万円)
- 2,000万円で売却
- 譲渡費用は80万円
- 給与所得は年600万円
建物は10年分の減価償却で約550万円目減りしているため、取得費は約2,450万円になります。
譲渡損失 = 2,000万円 −(2,450万円 + 80万円)= △530万円
1年目:給与所得と相殺する
給与所得600万円から530万円を差し引くと、課税対象は70万円まで下がります。すでに源泉徴収されていた所得税と、翌年の住民税が大きく減ります。所得税率や控除によりますが、数十万円単位で戻ることも珍しくありません。
2年目以降:使い切れなかった分をくり越す
もし損失が給与所得より大きく、その年で相殺しきれなかった場合、翌年以降3年間くり越せます。最大4年にわたって税負担を軽くできる計算です。
忘れてはいけないこと
確定申告が必要です
これが一番の落とし穴です。申告しなければ、この特例は適用されません。会社員の方で「年末調整があるから確定申告はしたことがない」という場合でも、売却した翌年の2月16日から3月15日までに申告が必要です。
くり越して2年目・3年目も控除を受けるなら、毎年続けて申告しなければなりません。1年でも抜けると、その後は使えなくなります。
住宅ローン控除と併用できます
買い換える場合、新居の住宅ローン控除とこの特例は併用できます。利益が出たときの3,000万円控除は住宅ローン控除と併用できませんが、損失の場合は別です。
岡山で損が出やすいのはどんな場合か
実務で見ていると、損が出やすいのはこういうケースです。
築20年を超えた木造住宅
木造の建物部分は、20〜25年でほぼ評価がなくなります。土地値が上がっていなければ、建物の目減り分がそのまま損失になります。
郊外・県北のエリア
岡山市中心部の地価は上昇が続いていますが、県内すべてがそうではありません。岡山市でも南区の一部や、津山市・高梁市などの県北エリアでは、地価が横ばいか下落している地点があります。
10年前に購入された方の場合、購入時期と場所によって結果が大きく分かれます。
新築で買った物件
新築住宅は、購入した瞬間に「中古」になります。建売住宅では、購入直後に売ると1〜2割下がることが一般的です。転勤などで数年内に手放す場合、損失が出やすくなります。
まとめ
- 自宅の売却で損が出たら、給与所得と相殺して税金が戻る可能性がある
- 買い換える場合と、買い換えない場合(ローン残あり)で使える制度が違う
- どちらも所有期間5年超・合計所得3,000万円以下が条件
- 相殺しきれない分は翌年以降3年間くり越せる
- 確定申告をしなければ適用されない。くり越す場合は毎年続けて申告する
- 住宅ローン控除との併用は可能
「損して売るのだから、税金の話は関係ない」と思われがちですが、逆です。損が出たときこそ、申告する価値があります。
売却でいくら損が出るか、先に計算できます
売却価格と購入価格を入れると、譲渡損益と税額が出ます。損失が出る場合は、使える特例をご案内します。登録は不要です。
マイホーム売却の税金ツールを使う
岡山市・倉敷市でご自宅の売却をお考えの方、まずいくらで売れそうかを確認しませんか。損失が出そうな場合も、使える制度をご案内できます。査定だけでも承ります。
※ この記事は一般的な制度の説明です。適用の可否は個別の状況で変わります。申告にあたっては税理士または税務署にご確認ください。
よくある質問
Q. 家を売って損が出たら、本当に税金が戻ってくるのですか?
A. 条件を満たせば戻ります。給与所得などと損失を相殺(損益通算)でき、その年に源泉徴収された所得税が還付されます。相殺しきれない分は翌年以降3年間くり越せます。ただし確定申告が必要で、申告しなければ適用されません。
Q. 住宅ローンが残っていなくても使えますか?
A. 買い換える場合は使えます。新しい自宅を購入し、その住宅ローンを10年以上組むなどの条件を満たせば、売却で出た損失を給与所得と相殺できます。買い換えない場合は、売った家に住宅ローンが残っていることが条件になります。
Q. 岡山で家が買値より安くなることは多いのですか?
A. 築年数によります。木造住宅の建物部分は20〜25年でほぼ評価がなくなるため、土地値の上昇が建物の目減りを上回らなければ損が出ます。岡山市中心部は地価が上昇していますが、郊外や県北では下落している地域もあり、購入時期によっては損失が出ます。
岡山で家を売ることをお考えの方へ
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