収益物件を買うとき、多くの方は「いくらで買うか」「利回りは何%か」に意識が向きます。しかし実際に投資の成否を分けるのは、「いくらで売り抜けるか」です。
この記事では、岡山で収益物件を検討している方に向けて、買う前に決めておくべき出口戦略の考え方をお伝えします。
なぜ買う前に出口を決めるのか
理由はシンプルで、買った瞬間に出口の選択肢がほぼ決まってしまうからです。
購入条件が出口を規定する
たとえば築25年の木造アパートを、20年ローンで買ったとします。この時点で次のことが確定します。
- 法定耐用年数22年を超えているため、次の買い手も長期融資を引きにくい
- 10年後には築35年。買い手の候補はさらに狭まる
- 売却時にローン残債が売却価格を上回れば、自己資金で埋める必要がある
これらは購入時に計算できることです。買ってから気づくと、選べる道は「持ち続ける」しかなくなります。
投資の成績は売却して初めて確定する
保有中の家賃収入がプラスでも、売却で大きく損をすれば全体では赤字になります。逆に保有中の手残りが薄くても、売却益が出れば成功です。収益物件の成績は、売って初めて確定します。
保有年数を決める3つの区切り
何年で売るかを考えるとき、判断材料になる区切りが3つあります。
①所有期間5年(譲渡所得の税率)
売却益にかかる税率は、所有期間で大きく変わります。
- 短期譲渡(5年以下):所得税・住民税あわせて約39%
- 長期譲渡(5年超):約20%
判定は「売却した年の1月1日時点」で5年を超えているかどうかです。2021年6月に買った物件を2026年8月に売ると、実際は5年2か月保有していても、2026年1月1日時点では4年7か月のため短期扱いになります。ここを間違えると税負担が倍近く変わります。
②減価償却が切れる時期
木造は22年、軽量鉄骨造は19〜27年、RC造は47年で法定耐用年数を迎えます。中古で買った場合の償却期間は「(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 0.2」で計算するのが一般的です。
償却が終わると帳簿上の経費が急に減り、手残りは変わらないのに税負担だけが増える状態になります。これがデッドクロスです。多くの投資家が、この時期を売却の一つの目安にしています。
③ローン残債と売却想定価格が逆転する時期
売却価格がローン残債を上回っていれば、売却で手元にお金が残ります。下回っていれば、差額を自己資金で埋めなければ売れません。
元利均等返済では、初期は利息の割合が大きく元本があまり減りません。一方で物件価格は築年数とともに下がります。この2本の線がいつ交わるかを購入前にシミュレーションしておくことが、出口を確保するということです。
出口の選択肢は3つある
出口は「売る」だけではありません。
①売却する
最も一般的な出口です。判断の目安は次のとおりです。
- 売却価格がローン残債を十分上回っている
- 大規模修繕の時期が来る前
- 所有期間5年超で長期譲渡の税率になっている
- 周辺の賃貸需要が今後細りそう
②持ち続ける
ローンを完済し、安定して稼働している物件なら、持ち続けたほうが有利なこともあります。返済がなくなれば家賃はほぼそのまま手残りになります。
ただし「売れないから持っている」と「持つほうが得だから持っている」は違います。後者であることを数字で説明できるかを確認してください。
③建物を解体して土地として売る/活用する
建物の価値がなくなり、修繕費のほうが大きくなった場合の選択肢です。岡山は都市部でも土地値が比較的手頃なため、更地にして売る、あるいは駐車場として活用するという判断が成り立つケースがあります。
解体費用は木造アパートで規模により数百万円かかることもあります。この費用を保有期間中に積み立てておけると理想的です。
出口が見えにくい物件の見分け方
買うときは安く、売るときに苦戦する物件には共通点があります。
買い手の融資が付かない物件
- 再建築不可物件:接道条件を満たさず建て替えができない。融資が付きにくく、買い手は現金客に限られます
- 市街化調整区域:原則として新たな建築が制限される区域。担保評価が低くなります
- 旧耐震基準(1981年5月以前):融資期間が短くなるか、対象外になることがあります
- 検査済証がない:法適合が確認できず、金融機関が敬遠します
これらは利回りが高く表示されることが多いのですが、それは売りにくさが価格に織り込まれている結果です。買う前提としてはあり得ますが、出口を現金客に限定する覚悟が必要です。
賃貸需要が細る立地
人口減少が進む地域では、10年後の家賃水準を今と同じで計算するのは危険です。家賃が2割下がれば、収益還元で計算される売却価格も2割下がります。将来の家賃を保守的に見積もったうえで出口価格を計算してください。
買う前に作っておきたい数字
難しい計算は不要です。次の4つを紙に書き出すだけで、出口の見え方が変わります。
- 何年後に売るか(例:10年後)
- そのときのローン残債(返済予定表から読めます)
- そのときの想定売却価格(家賃が1〜2割下がった前提で、周辺の利回り水準から逆算)
- 保有中に貯まる手残りの累計
「③−②+④」がプラスなら、その物件は出口が取れています。マイナスなら、保有年数を変えるか、価格を交渉するか、見送るかの判断になります。
まとめ
- 出口戦略は買う前に決める。購入条件が出口の選択肢を規定する
- 保有年数の区切りは、①所有期間5年(税率)②減価償却が切れる時期 ③残債と価格の逆転
- 所有期間5年の判定は売却した年の1月1日時点。実際の保有期間とずれるので注意
- 出口は売却・保有継続・解体活用の3つ。「売れないから持つ」状態は避ける
- 再建築不可・市街化調整区域・旧耐震などは買い手の融資が付きにくく出口が狭い
コアラ不動産では、物件をご紹介する際に「この物件を10年後に売るといくらになりそうか」まで含めてご説明しています。買う前に出口を確認したいというご相談も歓迎です。
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よくある質問
Q. 出口戦略はいつ考えればいいですか?
A. 買う前です。購入時の価格と融資条件で、何年後にいくらで売れば利益が出るかがほぼ決まります。買ってから考えると、選べる選択肢が減っていきます。
Q. 何年で売るのが一般的ですか?
A. 木造アパートなら減価償却が切れる前後、おおむね10〜15年を一つの区切りとする方が多くいます。ただし物件の構造・融資期間・自身の税率によって最適な年数は変わるため、一律の正解はありません。
Q. 売らずに持ち続けるのは間違いですか?
A. 間違いではありません。ローン完済後も安定して稼働する物件なら、持ち続けるほうが有利なこともあります。重要なのは「なんとなく持っている」状態を避け、持ち続ける根拠を数字で説明できることです。
Q. 出口が見えない物件とはどんな物件ですか?
A. 再建築不可、市街化調整区域、接道が極端に悪い、大規模な修繕を要するのに積立がない、といった物件です。買うときは安く見えますが、売るときに買い手の融資が付かず、現金客しか対象にならないため価格が大きく下がります。




